Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会
Journal of Japanese Biochemical Society 87(3): 321-325 (2015)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870321

特集「タンパク質・酵素の隠された機能について,探索とその技術」

ヒスタミンとドーパミン生成酵素の変遷

1岡山県立大学保健福祉学部 ◇ 〒719-1197 岡山県総社市窪木111番地

2香川大学教育学部 ◇ 〒760-8522 香川県高松市幸町1番1号

3龍谷大学農学部 ◇ 〒612-8577 京都府京都市伏見区深草塚本町67番地

発行日:2015年6月25日
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生理活性アミンとして知られるヒスタミンとドーパミンはそれぞれ,ピリドキサール5′-リン酸を補酵素とするヒスチジン脱炭酸酵素(HDC),芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AroDC)の触媒作用により生成する.HDC,AroDCともに基質特異性が高く,HDCによるドーパミン生成およびAroDCによるヒスタミン生成の触媒作用はどちらもきわめて低い.ヒスチジンメチルエステルとヒト由来C末端欠損HDC(活性型とされる)との複合体,CarbiDOPA(カルビドーパ)とブタ由来AroDCとの複合体のX線結晶構造解析結果を比較すると,活性中心部位ではアミノ酸1残基(それぞれS354とG354に相当)のみが両酵素間で異なっていた.その残基をセリンからグリシンに置換したHDCの変異体はヒスチジンよりもDOPAとの反応をより触媒するようになり,酵素機能がAroDCに近づくことが明らかとなった.脱炭酸反応とその後の生成物の放出に至るメカニズムはAroDCとHDCとで共通していると考えられた.

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