生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

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Journal of Japanese Biochemical Society 91(3): 338-348 (2019)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2019.910338

特集Special Review

D-セリンと精神疾患D-Serine and psychiatric disorders

昭和大学医学部薬理学講座医科薬理学部門・薬理科学研究センターDepartment of Pharmacology, School of Medicine, Pharmacological Research Center. Showa University, Tokyo, Japan ◇ 〒142–8555 東京都品川区旗の台1–5–8 ◇ 1–5–8 Hataniodai, Shinagawa-ku, Tokyo 142–8555, Japan

発行日:2019年6月25日Published: June 25, 2019
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脳のD-セリンは,高次脳機能の発現・調節において中核的役割を果たすNMDA型グルタミン酸受容体のグリシン調節部位に作用し,同受容体の生理的活性化に不可欠なコアゴニストとして機能している.NMDA受容体の遮断薬や自己抗体による機能障害が,幻覚・妄想,思考・感情・意欲の障害,認知機能障害,小脳失調等を引き起こす一方,過剰な刺激が神経細胞死を誘発することが知られていることより,D-セリンのシグナルの低下や亢進もNMDA受容体の変調を介して,こうした異常を示す種々の精神神経疾患の病態に関与すると考えられている.また,D-セリンの代謝・機能の分子細胞機構は,精神神経疾患の治療法開発の標的として注目されている.本稿では,このうち最も研究が進んでいる統合失調症を中心に,D-セリンシグナル制御から見た精神疾患の病因・病態と新規治療法について概説する.

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