Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
Journal of Japanese Biochemical Society 96(6): 813-823 (2024)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2024.960813

特集Special Review

非コードRNAによる転写抑制Transcriptional repression by non-coding RNA

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発行日:2024年12月25日Published: December 25, 2024
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転写制御といえば転写因子がエンハンサーやプロモーターなどの遺伝子発現制御配列を認識して行われるもの,と思われがちであるが,実はRNAもそこに関わっている.実際,RNAが相補的な塩基配列とハイブリダイゼーションする反応はきわめて効率がよく,しかも特異性が高い.この仕組みを巧妙に使っているのが,piRNAによるレトロトランスポゾンの遺伝子サイレンシングと,酵母でみられるヘテロクロマチン形成である.また,RNAは非常に柔軟な性質を持っており,巨大なタンパク質が集合して複合体を創るための足場として働くことができる.このメカニズムで働いている非コードRNAの代表例がX染色体の遺伝子量補正に関わる哺乳類のXIST,ならびにショウジョウバエのroXである.本稿では,配列の相補性を介して標的を見つけるためのガイドとして働く小さなRNAを主軸に,非コードRNAによる転写制御機構を紹介する.

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