生命の脂質多様性を捉える最先端のリピドミクス解析から,生体内で脂質多様性やその局在を創り出し,調節・認識する仕組みの解明,およびその破綻による疾患解明を目指した研究を紹介する.
カルパインはストレス依存的な細胞内プロテアーゼであり,限定的プロテオリシスを介して基質の活性や安定性を調節する.ここ10年にわたり,同プロテアーゼファミリーの制御不全が血管系疾患の発症・進展に寄与するとの報告が相次いでいる.
本稿では,組織透明化・3次元イメージングによって実現した,臓器や全身の細胞と細胞ネットワークを網羅的に解析するフレームワーク「セルオミクス」技術開発の経緯と展望を概説する.
プロテアーゼカスケードの最上流に位置する前駆体の活性化は,前駆体どうしの「近接効果」による自己触媒的活性化で説明される.本稿では,リポ多糖LPSで惹起されるカブトガニのプロテアーゼ前駆体であるProchelicerase Cの自己触媒的活性化の分子機構の実像に迫る.
線維化とはコラーゲンなどの細胞外マトリックスが過剰に蓄積した状態である.線維化は組織の機能低下を引き起こすため,治療の対象となっている.線維化で主要な働きをするのは線維芽細胞から転換した筋線維芽細胞である.線維芽細胞をめぐる進展を紹介する.
ユビキチン修飾系は多くの場合,ユビキチンが複数連結したユビキチン鎖が標的タンパク質に結合する.このとき,ユビキチン間のつながり方の違いに応じて標的タンパク質の機能や運命を多彩に調節し,それによって異なる細胞機能を制御する.本稿では構造生物学的に明らかにされたユビキチン鎖の識別機構を紹介する.
筆者らは,リボ核タンパク質複合体Vaultの構成因子である非コードvtRNAが,MAPKシグナルの活性化を介して,シナプス形成を調節することを見いだした.本稿では,非コードRNAによる中枢神経シナプスの新しい形成制御メカニズムを紹介する.
細胞膜のリン脂質は細胞膜外層と内層で非対称な分布を示すが,この生理的意義は完全に解明されていない.本稿では,出芽酵母実験系の研究から明らかになったリン脂質非対称性が有する細胞膜ステロール保持機能について概説する.
ダイソームプロファイリング法は,衝突した二つのリボソームに由来するRNaseフットプリントを次世代シークエンサーで解析する手法である.本手法によって翻訳伸長,翻訳終結,リボソームのリサイクルのダイナミクスが明らかになっている.
飾により酵素タンパク質中のアミノ酸残基から各種の補酵素が作り出される.本稿では,多段階のキノン補酵素形成反応過程において,Trp 残基側鎖を特異的に二水酸化する新奇フラビン酵素の立体構造と機能を解説する.
褐色脂肪組織での熱産生は,恒温動物の寒冷環境での体温維持,またヒトでは多食でのエネルギー消費に重要であり,熱産生の破綻は代謝性疾患につながる.本稿では,熱産生とエネルギー代謝について概説し,オルガネラの連携を介した熱産生シグナルを紹介する.
我々は哺乳動物細胞の熱ショック応答の転写誘導機構をHSF1転写複合体解析に基づいて解析してきた.最近,進化的アプローチによりHSF1のリン酸化を介したユニークな転写開始前複合体形成とRNAポリメラーゼIIリクルートの促進機構を見いだした.
細胞の機械特性,特に膜張力は基本的な生命現象の根幹となる役割を果たしているが,細胞が膜張力をどのように制御しているのかについてはいまだに不明な点も多い.本稿では,ショウジョウバエ細胞の持つリン脂質を介した特異な膜張力の制御機構について紹介する.
我々は活性酸素生成酵素NADPHオキシダーゼ(NADPH oxidase:NOX)が内皮・上皮細胞遊走を制御していることを見いだした.本稿では,NOXの生理的役割やNOXによる細胞遊走制御機構について,我々の最新の知見をもとに概説する.
環境ストレスは生物にとって好ましくない外的要因である.筆者らは,細胞に生えた毛のようにみえる一次繊毛が,神経ネットワークが柔軟に変化する出生直後の大脳皮質を環境ストレスから保護する役割があること,またその詳細なメカニズムを解明した.
著者らはファンコニ貧血類似の新規遺伝性骨髄不全症候群であるADD症候群(ADH5/ALDH2欠損症)を同定した.その発見の経緯と,疾患モデルiPS細胞を用いた病態検討結果について紹介する.
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