生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

アトモスフィアAtmosphere

研究者育成とモデル・コア・カリキュラム

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950273
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総説Reviews

オルガネラ膜接触ゾーンにおける脂質選別輸送システムの動作原理Operating principle of the lipid sorting transport systems in the organelle membrane contact zones

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950279

脂質転送タンパク質群によりさまざまな脂質が小胞体と他のオルガネラとの間で転送されている.本稿では,多様な脂質種とオルガネラが混在する細胞内で特定の脂質が特定のオルガネラに対して一定の向きで移動する動作原理について述べる.

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電位依存性カリウム(KV)チャネル研究の歴史と展望History and outlook of voltage-gated potassium channel research

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950296

80年代後半のShakerのクローニング以来,KVチャネルはイオンチャネル研究の中心的存在であった.そして近年爆発的に増えた構造情報により,その理解は新たなステージに入っている.これまでの研究の歴史を振り返りつつ,今後のKVチャネル研究を展望する.

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神経回路形成機構の解明を目指してToward elucidating the mechanism of neuronal circuit formation

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950310

脳の神経回路は,先天的・後天的な要因によって形成される.その細胞・分子メカニズムは? 一人の神経科学者がこの問題に取り組んできた戦略と方法.

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翻訳動態をタンパク質レベルで捉えるプロテオミクスCutting-edge proteomics to capture the translation dynamics at the protein level

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950322

遺伝子発現における「翻訳」過程に焦点を当て,翻訳をタンパク質レベルで捉えるための最先端の質量分析技術を紹介するとともに,それらのプロテオームワイドな解析から得られた知見について概説する.

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みにれびゅうMinireviews

相分離液滴へのゲストタンパク質の取り込みと運動性の解析—p53やFUSをモデルとして—Molecular principles of recruitment and dynamics of guest proteins in liquid droplets of p53 and FUS

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950330

液‒液相分離したタンパク質集団の液滴を物理化学的に理解するため,単分子蛍光顕微鏡を用いて,さまざまなゲストタンパク質に対して液滴への取り込みや液滴内での並進運動を定量的に解析してきた.本稿では,この解析から見いだした液滴特有の法則を紹介する.

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老化細胞が分泌するSASP因子による細胞競合阻害作用Inhibition of cell competition by SASP factors derived from senescent cells

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950336

発がんの初期でがん抑制機構として働く「細胞競合」と「細胞老化」は,いずれもがん遺伝子の変異によって誘導されるが,その機能連関は不明であった.本研究を通して我々は,老化細胞から分泌されるSASP因子が細胞競合を抑制することを解明した.

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太古の地球における酸素の起源:翻訳後アミノ酸変換による光合成酸素発生系の形成Origin of oxygen on ancient Earth: Formation of the oxygen evolving complex by post-translational amino acid conversion

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950341

太古の地球において,光合成による酸素発生がいつ,どのように始まったのかは,いまだ謎として残されている.本稿では,筆者らが最近発見した光化学系Ⅱにおける翻訳後アミノ酸変換の現象と,それによる光合成酸素発生の起源および進化の仮説を紹介する.

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植物の二次的小分子RNAの生成機構Molecular mechanisms of secondary siRNAs biogenesis in plants

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950346

植物はRNAサイレンシングの標的となったRNAを二本鎖化することで,二次的な小分子RNAを生成しRNAサイレンシングを強化する経路を持つ.本稿ではこの経路の要である標的の二本鎖化の分子機構を中心に,二次的siRNA生成機構に関する直近の知見を概説する.

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加齢によるNADの低下とサルコペニア・フレイルの病態Age-associated decline in NAD and the pathogenesis of sarcopenia and frailty

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950351

超高齢社会における日本において,加齢により骨格筋量・筋力を維持できなくなるサルコペニア・フレイルは喫緊の医学的・経済的問題である.本稿では加齢に伴うNAD+の低下とサルコペニア・フレイル病態の関係に関する最新の知見を概説したい.

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GPIアンカー型タンパク質の新規結合様式の発見Ethanolamine-phosphate on the second mannose is a preferential bridge for some GPI-anchored proteins

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950355

GPIアンカー型タンパク質のうち一部のタンパク質は,GPIコア構造の3番目のマンノース(Man3)ではなくMan2に結合するEthN-Pを介してタンパク質のC末端にGPIアンカーが付加される新規構造をとることが明らかになった.

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extracellular vesicle & particle(エクソソーム)が秘める可能性の探索Exploring the hidden potential of the Extracellular vesicle & particle

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950360

extracellularvesicle&particle(EVP)は多様な生体情報を含み,全身的な細胞間コミュニケーションを担う.本稿では,EVPに含まれるタンパク質とmiRNAの働きを中心に,がんの早期診断や免疫細胞への影響,取り込まれた先のタンパク質発現の変化に関して解説する.

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XVII型コラーゲン分解制御による表皮幹細胞の遊走制御Type XVII collagen proteolysis regulates epidermal stem cell motility

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950365

皮膚の創傷治癒では,表皮細胞が移動して傷を塞ぐ再上皮化という現象が起こる.この過程に必須である表皮幹細胞の遊走に,EGFR活性化によって発現誘導されるTIMP-1が,XVII型コラーゲンの分解を抑制することが必要であることが明らかとなった.

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機械的刺激による筋線維芽細胞の性質変化Alteration of myofibroblast characteristics by mechanical stimulation

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950370

線維化とは筋線維芽細胞によって過剰にECM(細胞外マトリックス)タンパク質が産生された状態である.線維化は組織を硬くし,この硬化による筋線維芽細胞への機械的刺激はECMタンパク質のさらなる産生を促す.本稿では核移行分子に着目し,機械的刺激による筋線維芽細胞のECMタンパク質産生機構を紹介する.

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高速運動する植物ミオシンFast-moving plant myosins

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950374

植物は動かないが,その細胞内では原形質流動と呼ばれている激しい流れが起きており,これは植物特異的なミオシン11により引き起こされている.動物のミオシンよりはるかに高速で動くミオシン11の構造・機能について概説する.

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ミトコンドリア由来ホスファチジルエタノールアミンによるミトコンドリア機能,細胞増殖制御Regulation of mitochondrial function and cell proliferation via mitochondria-derived phosphatidylethanolamine

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950379

著者らは近年,ミトコンドリア由来ホスファチジルエタノールアミンが,出芽酵母においてグルコース枯渇時のミトコンドリアエネルギー代謝および静止期移行を低下させる作用を有すること,pRb欠損性ヒトTNBC細胞の増殖に重要であることを見いだした.

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てんかん発症を抑制するためのLGI1–ADAM22タンパク質複合体の量的制御機構Regulatory mechanisms of the LGI1–ADAM22 protein levels to prevent epilepsy

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950384

疾患タンパク質の発現量と症状出現の関連性を解明することは,疾患治療の有用な指針となりうる.今回,てんかんに関連するタンパク質複合体LGI1-ADAM22について,複合体の量を制御する分子機構とてんかん抑制のために必要な量を明らかにした.

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ホスファチジルセリン脱炭酸酵素PSDの生体膜上での基質認識機構Substrate recognition mechanism of phosphatidylserine decarboxylase (PSD) on the biological membrane

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950389

ホスファチジルセリン脱炭酸酵素(PSD)は,生体膜主要リン脂質であるホスファチジルエタノールアミンの合成を担う.本稿では我々が決定した大腸菌由来PSDの結晶構造から明らかになった,PSDによる生体膜上での基質認識機構について紹介する.

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非コードゲノムに由来するphasiRNAsの雄しべサイレンシング機構Silencing system of anther-specific phasiRNAs derived from non-coding RNAs

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950394

高等生物に共通する「非コードゲノム領域の存在意義」とは何かといった命題のもと,700種を超える長鎖non-codingRNAに由来するphasiRNA群のサイレンシングを介した植物の雄しべ発生メカニズムについて紹介する.

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