生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

アトモスフィアAtmosphere

教育研究の国際化と若き生化学者の未来の創造

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950565
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総説Reviews

最新技術で明らかになったエンドセリン受容体の構造と機能Structure and function of endothelin receptors revealed by state-of-the-art technology

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950571

エンドセリンとその受容体ETA・ETBは,Gタンパク質を通じて体の恒常性を調節する.本稿は,これまでの構造研究で明らかになった,エンドセリン結合時の受容体の構造変化や,Gタンパク質の活性化機構,臨床で使われている拮抗薬の結合様式について解説する.

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ERKシグナル伝達ネットワークと疾患ERK signaling pathway and human diseases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950579

ERK経路は増殖,分化,免疫応答などの生命現象をつかさどる情報伝達システムであり,その破綻はがん,感染症,発生異常などの原因となる.本稿ではERK経路の制御機構と生理機能,およびその破綻がもたらす疾患に関する最新の知見を概説する

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みにれびゅうMinireviews

線虫遺伝学が明らかにする軸索輸送不全と神経変性Defects in axonal transport and neurological disorders revealed by worm genetics

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950594

近年,軸索輸送の分子モーターKIF1Aの遺伝的変異が神経疾患の原因となることが明らかになった.我々は線虫遺伝学と生化学によってKIF1Aの疾患変異を解析し,シナプスの材料となる軸索輸送の亢進や減少がこの疾患の背景にあることを示した.

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授乳期マウスのオキシトシン分泌動態を可視化するRecording of pulsatile activities of oxytocin neurons in lactating mice

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950599

授乳は哺乳動物の存続に必須の機能であるが,授乳を可能とする母体の脳の仕組みはよくわかっていない.今回我々は,遺伝学的ツールの発達したマウスを用いて,授乳に必須の神経ホルモンであるオキシトシンの分泌動態をリアルタイムに可視化する系を構築した.

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概日時計タンパク質CRY1とCRY2をアイソフォーム選択的に制御する化合物Isoform-selective compounds against mammalian circadian clock proteins CRY1 and CRY2

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950604

筆者らは概日時計タンパク質であるCRY1とCRY2を標的とする世界初の化合物を見いだしてきた.これらのユニークな化合物について,CRYアイソフォーム選択性を生み出す分子機構,ならびに概日時計関連疾患への応用の可能性に関する最新の知見を紹介する.

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オートファジーによる細胞老化制御機構MondoA decelerates cellular senescence by retaining autophagy and mitochondrial homeostasis

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950609

老化に伴ってどのような機構でオートファジーが低下するのかは不明である.筆者らが同定したオートファジー抑制因子Rubiconの増加が個体老化の一因である可能性が示唆されており,本稿では個体老化の誘因となる細胞老化の制御機構について,Rubiconを交えて概説する.

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アストロサイトの機能異常による正常眼圧緑内障発症機構Astrocyte dysfunction-induced pathogenesis of normal-tension glaucoma

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950614

アストロサイトは,脳や網膜など神経組織に存在する非神経細胞の一つであり,緑内障患者の網膜や視神経乳頭部で病的な変化を示すことが知られている.本稿では,アストロサイトの機能異常が正常眼圧緑内障患者様の症状を惹起するメカニズムについて紹介する.

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結核菌による宿主自然免疫応答の制御Control of host innate immunity by Mycobacterium tuberculosis

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950618

結核菌は細胞壁に特有の脂質を発現し,強い免疫賦活活性を有するものや,逆に免 疫系を制御して病原因子として働くものが知られる.本稿では,これら脂質の宿主受容体による認識とそれを介した自然免疫活性化の制御機構について解説する.

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ミトコンドリア陽イオントランスポーターによる体内時計ニューロンの普遍的制御Mitochondrial cation transporter regulates molecular clock rhythms in circadian pacemaker neurons

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950623

体内時計ニューロン内では時計遺伝子転写やCa2+/H濃度が約24時間周期で振動している.本稿ではラットやショウジョウバエを用いて,ミトコンドリア陽イオン輸送体LETM1が,この根源的な振動の発生に関与することを明らかにしたので報告する.

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ビタミンKのフェロトーシス抑制作用とビタミンK還元酵素の同定Ferroptosis suppression via vitamin K reduction

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950628

新たに発見されたビタミンKのフェロトーシス細胞死抑制作用と,これまで正体が不明であったワルファリン非依存性のビタミンK還元酵素の同定について概説する.コエンザイムQ10還元酵素として知られていたFSP1がビタミンK還元酵素でもあったのである.

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CRISPR-CasとOMEGAシステムの分子基盤Molecular basis of CRISPR-Cas and OMEGA systems

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950632

生物のゲノムにはさまざまな機能を持ったシステムがコードされており,生命科学を中心とした分野での基盤技術に利用されることがある.本稿では,近年注目されているCRISPR-CasシステムならびにOMEGAシステムについて,その分子基盤を解説する.

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修飾RNAによる免疫制御リガンドとしての作用Modified RNA catabolites act as immunoregulatory ligands

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950636

RNA修飾は高次生命を調節する重要な分子機構として近年研究が盛んになっている.RNA修飾は代謝・分解を受けた後に「修飾ヌクレオシド」として豊富に生体内に存在しており,中には免疫応答を活性化するなど生理活性機能を持つ場合がある.

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Cas7-11–Csx29ヌクレアーゼ–プロテアーゼ複合体の構造,機能,応用Structure, function, and engineering of Cas7-11–Csx29 nuclease–protease complex

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950640

III-E型CRISPR-Casシステムに関与するCas7-11‒Csx29複合体はRNA依存性ヌクレアーゼ-プロテアーゼとして機能する.本稿では,Cas7-11‒Csx29複合体の機能,構造,応用に関して紹介する.

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抗原提示細胞表層のC型レクチン受容体を標的とする糖鎖を用いたドラッグデリバリーシステムSugar chain based drug delivery system for targeting C-type lectin receptors on antigen presenting cells

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950645

抗原提示細胞に発現するC型レクチン受容体は,外来微生物の捕捉や抗原提示に関与し,抗原分子やアジュバント分子を選択的に輸送するための魅力的な標的である.本稿では,糖鎖を利用したC型レクチン受容体選択的な輸送戦略について概説する.

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ミトコンドリアゲノムの新しい制御機構:核様体のダイナミクスとその意義Dynamics of mitochondrial nucleoids as a novel regulatory mechanism of the mitochondrial genome

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950650

ミトコンドリアの独自のゲノム(mtDNA)は,細長いミトコンドリアに沿って活発に移動しているが,そのメカニズムはほとんどわかっていなかった.本稿では,我々が見いだしたmtDNAのダイナミックな制御機構と,この動的変化がもたらす意義を紹介する.

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メチオニンと亜鉛は多能性幹細胞の多能性および分化を制御するMethionine and zinc regulate pluripotency and differentiation of pluripotent stem cells

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950655

幹細胞の未分化性維持や自己複製能などには栄養因子が深く関与している.本稿では,アミノ酸であるメチオニンと微量元素である亜鉛が,その相互作用を通じてヒト多能性幹細胞の未分化性維持機構にどのように貢献するかについて解説する.

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分裂期細胞核の細胞内配置決定に関わる新たな経路A novel pathway involved in mitotic nuclear positioning in fission yeast

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950660

細胞増殖過程において分裂期細胞核の細胞内配置はゲノム安定性を保証するためにきわめて重要である.しかし,その分子制御機構については不明な点が多い.そこで,分裂酵母において最近明らかになった新たな分裂期細胞核の配置制御について解説する.

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上皮細胞の細胞間接着におけるリゾホスファチジン酸の機能と作用機構Function and mechanism of action of lysophosphatidic acid in promoting epithelial apical junctional complex organization

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950665

リゾホスファチジン酸(LPA)は,LPA受容体1/5を介してその下流のジアシルグリセロール‒新型プロテインキナーゼC経路とRho-ROCK経路を活性化し,ネクチン‒アファディン複合体と相補的に機能して密着帯(TJ)と接着帯(AJ)からなる頂端結合複合体(AJC)の形成を促進する.

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からだの左右軸決定におけるノード繊毛の機能:背腹・頭尾軸の情報を利用して左右を決定する巧妙な仕組みMouse nodal immotile cilia sense bending direction for left–right determination: Symmetry breaking mechanism using the information of dorso–ventral and antero–posterior axes

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950670

心臓が左にあるといった左右非対称性はどのように決定されるのか,ノード繊毛が関与することが知られていた一方,その機構は論争が続いていた.本稿では先進的光学顕微鏡から明らかとなったノード不動繊毛が左右対称性を破る生物物理的メカニズムを解説する.

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CaMKホスファターゼの多様な生理機能とその阻害剤研究Diverse physiological functions of CaMK phosphatase and studies on its inhibitors

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950676

CaMKホスファターゼ(CaMKP)は,CaMKIIを脱リン酸化する酵素として同定・精製されたPPMホスファターゼである.本稿では,CaMKPの生理機能とその阻害剤研究について概説し,創薬標的としてのCaMKP研究の展望を議論する.

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