生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

アトモスフィアAtmosphere

何をやっても時間は過ぎる

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900427
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総説Reviews

セミインタクト細胞リシール技術の新展開:「再構成」から「細胞編集」までCell Resealing Technique: From Reconstitution to Cell Editing

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900433

細胞膜を透過性にして細胞質交換を可能にした「セミインタクト細胞リシール技術」の歴史やその問題点にふれながら、本技術を細胞の画像解析技術と最適に組み合わせることで広がる新しい細胞設計・編集技術について紹介する。

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Mg2+トランスポーターCNNMの分子機能と医学生物学的重要性Molecular functions of CNNM Mg2+ transporters and their biomedical importance

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900444

CNNMファミリーは進化的に高度に保存されたMg2+トランスポーターであり,細胞内や個体レベルでのMg2+恒常性維持に機能している.その遺伝子変異や機能制御異常が,がんなどのヒト疾患の発症や悪性化に密接に関わることが明らかになってきた.

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Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase—カルシウムシグナル伝達から創薬へ—Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase: From Ca2+-signal transduction to drug development

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900452

細胞内Ca2+シグナル伝達におけるリン酸化カスケード反応の調節酵素として見いだされたCaMKKはAMPKの活性化キナーゼとして代謝調節にまで深く関わっている。本稿ではCaMKKの活性制御の分子機構から酵素阻害薬による情報伝達解析まで概説する。

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自閉症の分子メカニズムMolecular mechanism in autism spectrum disorder

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900462

ゲノム研究の発展により、自閉症における数多くのゲノム変異が発見されてきた。しかし、それは多様性に富むものであり、非常に複雑な分子ネットワークが絡み合う。本稿では自閉症のゲノム変異からみえてきた分子メカニズムを追う。

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みにれびゅうMini Reviews

ヒトRabファミリー低分子量GTPaseが駆動する細胞内膜テザリング反応の再構成Reconstituted membrane tethering driven by human Rab-family small GTPases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900478

膜テザリングとは、SNARE依存性膜融合の前段階で、細胞内膜交通の場所特異性を担保する最も重要な素過程である。本稿では、再構成実験系により近年発見された、ヒトRabファミリーGTPaseが駆動する膜テザリング反応について紹介する。

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糖鎖プロファイリングによる疾患特異的マーカーの開発Development of a disease-specific glycol-biomarker with glycan profiling

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900482

グライコプロテオミクスはバイオマーカー開発において有効なアプローチである。中でもレクチンマイクロアレイによる比較糖鎖プロファイリング法は、疾患糖鎖マーカー開発を強力に推進する。本稿ではさまざまな検体を対象としたプロファイリング例を紹介する。

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細胞膜ホスファチジルセリン–フリッパーゼの活性調節機構Regulation mechanism of the PS-flippase ATP11C at the plasma membrane

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900486

生体膜リン脂質のホスファチジルセリン(PS)はほとんどが細胞膜の内葉に存在する.この非対称性はPSを外葉から内葉へフリップするフリッパーゼによって制御される.本稿では,初めて明らかになった細胞膜PS-フリッパーゼの調節メカニズムについて紹介する.

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生命に内在するタンパク質接着酵素をメダカで研究するTransglutaminase family in Medaka, a model fish

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900491

トランスグルタミナーゼは異種または同種のタンパク質を接着(架橋)させて機能変換を生じさせる酵素で、生物界に広く存在する。筆者らは、モデル生物として注目されてきたメダカでの本酵素の生化学的解析と変異体の作製を完了したのでこれを総括する。

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がんに対するキメラ抗原受容体発現T細胞療法Chimeric antigen receptor T cell therapy against cancer

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900495

キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞は強力な新しいがん免疫療法である。がん特異的 抗体の抗原認識部位とCD28などの共刺激分子およびCD3ζとの融合体であるCARを 発現するT細胞は、がん特異的抗原を認識して活性化し、がん細胞を傷害する。

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中枢神経系の修復における多臓器連関の意義Systemic mille regulates central nervous system regeneration

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900499

傷ついた脳の神経回路は、わずかではあるが自然に修復する。神経回路の修復のメカニズム研究は、脳の内部の細胞や分子の働きを解明するものが中心であるが、我々は脳の外部環境が脳の神経回路の修復を制御することを見いだした。

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酸性環境における腫瘍の悪性化機構Acidic tumor microenvironment promotes tumor progression

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900502

近年、腫瘍微小環境の一つである酸性環境が、遺伝子発現やがん代謝の変動を介して悪性化に寄与することが明らかとなりつつある。本稿では、酸性環境に起因するがん悪性化のメカニズムの一端としてSREBP2を介したコレステロール酢酸代謝制御を中心に紹介する。

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日本酒酵母の染色体異数性が生化学的代謝に及ぼす影響の解明と異数性に着目した育種技術の開発Metabolic impact of chromosomal aneuploidy in sake yeast

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900507

長年植え継がれてきた日本酒酵母の染色体数は不安定である。この現象を利用して有用な形質を持った日本酒酵母の育種に成功した。遺伝子組換え技術を使わずに異数染色体に着目して遺伝子を高発現させることのできる新たな育種技術として普及が期待される。

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tRNA依存的アミノ酸システインの生合成複合体の分子機構Molecular basis of synthase complex for tRNA-dependent amino-acid cysteine biosynthesis

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900512

アミノ酸の合成経路が存在しない生物種では,その遊離アミノ酸は相当するアミノアシルtRNAから生産される.また,そのアミノアシルtRNAも間接経路によって合成される.本稿では間接経路におけるCys-tRNACysの合成複合体の分子機構を紹介する.

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O-グルコース糖鎖修飾によるタンパク質の安定性の制御とその生物化学的意義Biochemical significance of regulation of protein stability by O-glucose glycans

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900519

O-グルコースとO-フコース糖鎖は、Notch1の正常な細胞表面における発現を相加的に制御する。POGLUT1とPOFUT1は、EGFリピートのフォールディングと安定性制御のための新たな小胞体における品質管理機構に関与していると考えられる。

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microRNAクラスターmiR-17-92による神経障害性疼痛の制御MicroRNA cluster miR-17-92 modulates the neuropathic pain

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900524

microRNAクラスターは生物種を超えて保存されていることが多く、機能的重要性が予想される。慢性に経過し治療抵抗性の神経障害性疼痛において、microRNAクラスターが神経興奮性制御に重要な役割を担っていることを明らかにしたので紹介する。

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レスベラトロール研究の進展Progress in the study on resveratrol

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900529

レスベラトロールは、生活習慣病予防や抗老化作用を持つ成分として注目されてい る。我々は、この成分の最初の分子標的が核内受容体PPARと考え研究を進めてい る。本稿ではこれまでの研究概要と今後の進展について紹介する。

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生殖細胞を体外培養で作る—in vitro gametogenesis—Current advance of in vitro gametogenesis

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900533

生殖細胞系列は複雑な分化過程を経て、次世代をつくる卵子や精子となる。これらの分化過程を体外培養系で再現できれば、分化機構の解明に大きく貢献する。本稿ではマウスの生殖細胞系列を体外培養系で再現する試みを紹介する。

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テクニカルノートTechnical note

立体構造解析のための大腸菌無細胞タンパク質合成系を用いた哺乳類由来膜タンパク質調製手法Preparation techniques using an Escherichia coli cell-free system to produce membrane proteins for structural analysis

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900539

立体構造解析や免疫用抗原作製にあたり、哺乳類由来膜タンパク質の高品質試料調製は依然困難な状況である。本稿では、この課題を克服するための大腸菌無細胞タンパク質合成技術に基づいた新しい膜タンパク質調製手法を紹介する。

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