生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society

アトモスフィア Atmosphere

実験の勧め Foreword

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870653
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総説 Reviews

Rap1を介したリンパ球移動の制御機構 Regulation of lymphocyte trafficking

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870659

血流を介して全身を移動しているリンパ球は,抗原情報を受け取るために,二次リンパ組織を再循環している.低分子量Gタンパク質Rap1は,この免疫監視機構において中心的な役割を果たしている.Rap1がインテグリンを介する細胞移動を制御する仕組みを解明した.

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タンパク質合成において,アミノ酸の重合は緩急の制御を受けつつ進行する.合成途上鎖が自らの翻訳進行にブレーキをかけることがあり,自身の動的挙動や特異的な低分子物質による制御を受ける.このような視点から翻訳過程に潜む分子の「自律性」を考察する.

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発光甲虫プローブを用いた細胞機能解析 Cell dynamics research using multi-color beetle luciferases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870675

酵素反応である生物発光について,生物学的な全体像から生化学的反応機構,そして発光強度の定量評価まで,基礎研究の現状を解説するとともに,遺伝子発現プローブとしての応用技術の展開を紹介する.

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CRISPR-Cas9の構造と機能 Structure and function of CRISPR-Cas9

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870686

CRISPR-Cas獲得免疫機構に関わるRNA依存性DNAヌクレアーゼCas9はゲノム編集ツールとして生命科学に革命をもたらした.本稿では,CRISPR-Cas9の構造生物学研究の最新の知見を紹介したい.

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近年,新たな概念に基づくがん免疫療法が開発され,大きな関心を集めている.本稿では,新規がん免疫療法において標的とされるPD-1分子の免疫応答における機能とPD-1阻害によりがん免疫が増強される機序について概説する.

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プロテアソーム研究は新たなステージに入っている.プロテアソームは想像以上にうまくデザインされた分子マシーンであること,細胞はタンパク質恒常性維持のためにさまざまな方法でプロテアソームレベルを制御していることが明らかとなってきた.

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みにれびゅう Minireviews

二光子励起顕微鏡を用いれば,細胞レベルの高解像度で,マルチカラーの生体イメージングが可能である.本稿では,FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)に基づいた生体イメージング例を紹介する.

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Mg2+は細胞の生存に不可欠な陽イオンであるが,その代謝機構は不明な点が多い.「高Mg2+環境」の海水に生息する真骨魚類は尿にMg2+を分泌・濃縮する仕組みを発達させてきた.海水魚腎臓に発現するMg2+輸送体と,その結果から推測されるMg2+分泌モデルについて論じる.

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脂肪酸とコレステロールの制御に重要な働きを持つSREBP-1とSREBP-2のイントロンに存在するmiR-33bとmiR-33aの生体での機能解析から,これらが多くの脂質代謝制御に関わる分子を制御することが明らかとなってきた.

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大腸菌の持つ二段構えのリボソーム解放機構 Ribosome rescue systems in Escherichia coli

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870736

終止コドンを持たないmRNAを翻訳するリボソームは,その末端で停滞する.最近,大腸菌が停滞したリボソームを解放する機構を複数そなえることが見いだされた.本稿では大腸菌におけるリボソーム解放の全体像とその意義について論ずる.

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BRCA1は,遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の原因遺伝子である.新規BRCA1結合分子OLA1が,分裂期に紡錘体極として染色体分配に重要な機能を果たす中心体を制御することが明らかになり,この機能破綻が発がんを引き起こすことが示唆された.

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グリコサミノグリカンは細胞外マトリックスの構成分子として静的な構造体として捉えられるが,実際には非常に動的なものであることが中枢神経再生時からもうかがえる.この発現制御を通して脊髄損傷・中枢神経損傷治療に向けて新しい方向性が示される.

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どの生物のゲノムでも全体の1/3近くを占める機能未知タンパク質の機能解明は生命現象の理解に必須だが,いまだ非常に難しい.本稿では,高度好熱菌を例にヌクレオチド代謝に関係する機能未知タンパク質に対する多様なアプローチの試みを紹介する.

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ビリン還元酵素PcyAと基質であるビリベルジンIXα(BV)の複合体(PcyA-BV)のプロトン化状態を中性子結晶解析で決定した.BVではBVとBVH+が,PcyAではAsp105とAsp105−が共存し,BVH+にフェレドキシンから電子移動があると,次々にプロトン移動が起こるという機構を提唱した.

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ミトコンドリアのプロテオスタシス制御 Regulation of proteostasis capacity in the mitochondria

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2015.870758

細胞は遺伝子発現を介した複数のタンパク質品質管理機構を備えている.哺乳動物細胞では,ミトコンドリアのタンパク質異常に対する適応機構(ミトコンドリアストレス応答)は細胞質・核の適応機構である熱ショック応答と密接に関連することが明らかとなった.

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微生物ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DPP)群によるジペプチド産生は,糖非発酵性グラム陰性細菌の増殖に重要である.DPP群を構成する二つのファミリーのうち,ヒトDPP4も属するS9ファミリーではなく,微生物のみに存在するS46ファミリーの構造と機能について紹介する.

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ヒスタミン遊離因子(HRF)はアレルギーに関わる分子として知られていたが受容体が未同定のため作用機序が不明であった.本稿ではHRFの歴史と我々が解明したアレルギー炎症反応におけるHRFの役割や作用機序について述べる.

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NF-κB代替経路活性化に重要なNF-κB-inducing kinase (NIK)は適切な免疫応答発動に不可欠であることが知られている.本稿ではT細胞の分化におけるNIKの役割について,現在得られている知見を中心に紹介する.

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自然免疫系は,外来抗原や不要な自己分子を認識する.酸化修飾で生成する抗原に着目した検討の結果,自然抗体や補体などの抗原認識において,抗原の表面電荷の減少が重要であり,電荷を介した相互作用が多様な抗原の認識を可能にしていることが予想された.

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小胞体膜タンパク質複合体(EMC)が,複数回膜貫通タンパク質に特異的に作用し,膜貫通部位のポリペプチド鎖の膜への挿入,もしくはフォールディングに関与することを明らかにした.さらに,EMCの欠損が網膜変性症の発症に関与する可能性を示唆した.

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細胞内のミスフォールドタンパク質は分解され,通常状態では細胞外へ輸送されることはない.ところが,それらがMHCクラスII分子に会合すると分解されずに細胞外へ輸送され,それが自己免疫疾患の標的分子になっている可能性が明らかになってきた.

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テクニカルノート Technical note

細胞膜マイクロドメインを構成する脂質分子の解析を目的とした手法を紹介する.コロイダルシリカビーズ法により細胞膜を分離したのち,界面活性剤不溶性画分として脂質マイクロドメインを取得し,これについて質量分析機を用いて構成脂質分子を定量する.

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