生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
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アトモスフィア Atmosphere

進化圧と評価 Foreword

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880001
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特集「ビッグデータから読み解く生命現象」:企画 清水 厚志,五十 嵐和彦 Special Reviews
Methods for the elucidation of life phenomena obtained from "BIG data" Atushi Shimizu, Kazuhiko Igarashi(eds)

生化学は生体内の物質の成り立ちやありかたについて紐解く学問であるが, 技術的制約からジアスターゼの発見後160年ほどは生物を構成する分子を一つ一つ捉えることで個々の生体物質の同定や代謝経路の解明が成されてきた.これまでの再構成実験により,多種多様な分子機構の理解が進んできたが,生化学の対象となってきた分子は量的に豊富であるか,目につきやすい現象に関わるものが主となってきたことは否めない.引き続き,生体を分子に基づいて理解するためには,個々の分子に着目するだけではなく,分子の量や質に関して全貌を把握していくことが必要となる.近年,液体クロマトグラフィー質量分析,DNAマイクロアレイ,そして次世代シークエンサーなど,生体分子を網羅的に解析するさまざまな技術の登場により,個々の分子を単離して詳細に解析するだけではなく,ある瞬間の生体現象全体のスナップショットを捉えることが可能となった.これらの測定機器の性能は加速度的に上昇し,一回の測定に排出される生体物質の情報は数TB(テラバイト)にも及ぶ.これらの生体内のビッグデータをコンピューターを駆使して解析する学問がバイオインフォマティクスであるが,宮城,岩手に東北メディカル・メガバンク機構が立ち上がったこともあり,多数のバイオインフォマティシャンが東北地方に集結している.そこで,本特集では北海道・東北地方在住のビッグデータを扱っている研究者の方々に依頼して,生化学とも馴染みの深い大腸菌,腸内細菌,シロイヌナズナ,イネ,ハダカデバネズミ,ヒトなどさまざまな生物種のビッグデータの解析について紹介する.生化学がバイオインフォマティクスと結びつくことで新しい地平が開けつつあること,その一端をお伝えできれば幸いである.

ニュートリゲノミクスでは,食品という複雑なインプットを受け取る生体の微少な遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイで検出する必要があるため,精度の高い解析手法が要求されてきた.そこで培われた解析手法の概要と,その他分野への応用例を紹介する.

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1070人の日本人全ゲノムリファレンスパネルの情報解析 Construction of 1070 Whole-genome Japanese Reference Panel and Bioinformatics

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880015

東北メディカル・メガバンク機構が推進するゲノムコホート事業において日本人全ゲノムリファレンスパネルの構築を行った.同パネルの中身とその性能について説明するとともに,開発を行ったバイオインフォマティクス情報解析ツールについて概説する.

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日本人多層オミックス参照パネル Japanese Multi Omics Reference Panel

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880025

大規模コホート調査に多層オミックス解析を活用することにより,日本人健常者の標準的なタンパク質や代謝物の分布を明らかにした.

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単一タンパク質の徹底的リン酸化解析と機能特定 :転写因子Bach2を例に Extensive analysis of protein phosphorylation: An example of transcription factor Bach2

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880031

タンパク質の多重翻訳後修飾は,シグナル統合機構として注目されつつある.転写因子Bach2は72か所のリン酸化部位を有すること,この中でSer-535リン酸化が細胞内局在を制御することが判明した.多重修飾の意義やmTORとの関係を討論する.

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IMMオミックスリファレンスパネルの取り組み Progress of Japanese Omics Reference Panels in Iwate Tohoku Medical Megabank Project

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880036

次世代シークエンサーの性能向上と解析コストの低下により,オミックス情報をコホートに組み込んだゲノムコホート研究の重要性が高まっている.本稿では,主要なゲノムコホート研究とともに,いわて東北メディカル・メガバンク機構の取り組みを紹介する.

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次世代シークエンサーを活用した全ゲノム解析によるイネ育種 Rice breeding based on whole genome sequencing using next-generation sequencer

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880044

次世代シークエンサーの開発により,生物の全ゲノム解析が容易になった.(公財)岩手生物工学研究センターでは,東北地方に適した水稲品種を育成する目的で,イネの全ゲノム解析による有用遺伝子同定とその利用による迅速育種を進めている.

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生化学など還元主義的アプローチを用いて少数の遺伝子・分子を対象とする研究者にとって有効なオミックスの活用法としての遺伝子ネットワークモデルを取り上げ,生化学に軸足を置く研究者がオミックスデータを活用していくための視点と事例について解説した.

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我々の腸管内には多種多様な腸内細菌が生息しており,それらが宿主腸管細胞と相互作用することで,複雑な腸内生態系,すなわち腸内エコシステムを形成している.本稿では,腸内エコシステムの全容理解に向けたメタボロゲノミクスによる近年の取り組みについて紹介する.

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いわゆる非モデル動物には,ヒトにとって有用な形質を持つものが数多く存在する.本稿では,哺乳類の老化・がん化メカニズムを解明する新たなモデルとして注目されている,ハダカデバネズミおよびその他の長寿動物から得られてきた知見について概説する.

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総説 Reviews

低分子量Gタンパク質Arf6 の個体における多彩な生理機能 Versatile in vivo functions of the small GTPase Arf6

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880078

低分子量Gタンパク質のArf6は,細胞膜ダイナミクスに伴う細胞現象を制御する重要な生命素子である.本稿では,Arf6 のシグナル伝達機構と細胞生理機能を概説し,我々が最近見いだした個体レベルでのArf6の生理機能と病態への関与について紹介する.

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細胞外分泌因子FGF21による生体機能調節 Secreted factor, FGF21, regulates diverse biological processes

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880086

FGF21は,肥満症や肥満症由来の糖脂質代謝異常などを改善する薬理作用を持つことから注目を集めている細胞外分泌因子である.このFGF21について,薬理作用,医療応用への試み,また明らかになりつつある生理的な役割について概説する.

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植物スフィンゴ脂質の構造多様性と,その多様性をもたらす代謝酵素に関する最近の知見を概説する.また,この構造多様性を解析するためのLC-MS/MSによる分析法のポイントとその課題について述べるとともに,最近の分析結果についても紹介する.

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巨大分泌タンパク質リーリンによる神経細胞移動の制御機構 Functions of Reelin in cortical neuron migration

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880105

大脳皮質の神経細胞は層構造を形成する.この現象には巨大分泌タンパク質リーリンが必要であるが,リーリンが具体的に何を制御するのかは最近まで不明であった.本稿では,層構造形成の分子機構とリーリンの機能制御について概説する.

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みにれびゅう Minireviews

Secタンパク質によるタンパク質の膜透過に関わる各因子の詳細構造の決定がなされてきたが,いまだどのような「動き」を伴っているのか不明である.これまでのSecタンパク質の結晶構造を振り返りながら,Secタンパク質の動的観察の展望を述べる.

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CRISPR/Casでマウスゲノムを自在に操る Genome editing in mouse with CRISPR/Cas system

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880119

ゲノム編集技術の登場により,どのような生物の,どのようなゲノム配列であろうとも,誰もが自在に操る時代の幕が明けた.ゲノムや細胞機能を個体レベルで理解することが当然になったのである.本稿ではマウス個体でのノックインを中心とした最近のゲノム編集に焦点を当てる.

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ミクログリアの活性化と形質を制御するIRF転写因子ファミリー Role of IRF transcription factor family in regulating reactive phenotype of microglia

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880124

ミクログリアは,組織環境に応じてその形質を劇的に変化させ,多様な機能を発現する.本稿では,ミクログリアの形質を制御する細胞内メカニズムに関して,特にinterferon regulatory factor (IRF) 転写因子ファミリーに焦点を当て,その役割について概説する.

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筆者らは,いまだ謎が残るグリア細胞機能を細胞内Ca2+シグナル解析から解明しようと試みている.本稿では,これまでの研究で明らかにした脳損傷治癒へのCa2+シグナルの関与を中心に紹介する.また,高精度なCa2+イメージング手法も紹介する.

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mRNAはタンパク質合成の設計図であるが,その中にはさまざまな情報が書き込まれている.そして,近年の技術革新により,時間・空間的なタンパク質合成を可能とする翻訳開始制御機構の「妙」が浮かび上がってきたので紹介したい.

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ブルセラ・アボルタス菌の細胞内増殖を制御する新規宿主因子Yip1A Yip1A, a novel host factor required for the intracellular replication of Brucella abortus

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2016.880139

細菌やウイルスなどの病原体は,宿主の防御機構から逃れて生存,増殖するためにさまざまな戦略を用いる.本稿では,小胞体ストレス応答を利用するブルセラ・アボルタス菌の巧妙な細胞内増殖戦略を紹介するとともに,宿主側の新規因子Yip1Aについて概説する.

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