臨床医から基礎研究へと舵を切り,大隅研でオートファジー研究に取り組んだ駆け出しのころと,その後の酵母から哺乳類への研究の展開を振り返る.
PKCからRho-kinase,神経極性,DISC1,リン酸化プロテオミクス,KANPHOS,神経伝達物質シグナルへと展開した研究の歩みと,精神・神経疾患研究,AI・オミクス統合,創薬への展望を概説する.
なぜ炎症は慢性化するのか? 本稿ではCD4+ T細胞の脂質代謝を介した病原性獲得機構,CD4+ TRM細胞を制御する転写因子HLF,Ex-TRM細胞による炎症転移という最近の三つの研究から,新概念「組織炎症記憶」とその治療応用を概説する.
筋萎縮性側索硬化症やイヌ変性性脊髄症における変異型SOD1のミスフォールディング機構を概説するとともに,病変部位に蓄積する異常SOD1の構造的特徴について,抗体や人工結合タンパク質を用いた解析から明らかになった筆者らの研究成果を紹介する.
本稿では,正常な心臓発生におけるグルコース代謝の役割を概説した上で,母体高血糖が中心炭素代謝,細胞内シグナル伝達を介して胎児心形成に及ぼす影響を論じる.
本稿では,これまでのTRIMタンパク質の研究に関して,個別遺伝子の発見からファミリー概念の形成をたどる.さらに,RBCC構造に基づく分子機構,自然免疫における多様な機能,近年進展した基質探索技術,標的タンパク質分解法と創薬応用を概説する.
モジュール型ポリケタイド合成酵素は,ポリケタイド天然物の基本骨格を構築するマルチドメイン酵素である.本稿では,モジュール型ポリケタイド合成酵素の全体構造や反応機構などについて,最近の著者らの研究成果を交えて概説する.
RNAイントロン切断酵素の構造進化を通じて,基質認識機構の多様化,特異的ループ構造による機能拡張,アーキアから真核生物への分子進化とRNA-酵素共進化の原理を概説する.
上皮組織内でアポトーシスが生じると,周囲の正常細胞によって排除される.本研究では,ゼブラフィッシュ胚の上皮組織をモデルとして用い,その機構を解析することで,これまで未解明であったメカノシグナル統合による排除制御機構を明らかにした.
がん細胞で発現がみられるパウチマンノース糖鎖は,リソソームで形成され,接着斑近傍でリソソームエキソサイトーシスによって細胞外へ露出する.本稿では,MYO18Bによる接着斑の成熟化とリソソームエキソサイトーシス制御機構について概説する.
ミクログリアは発生や老化,疾患など,状況に応じて機能を変化させる.本稿では,発生から老化に至るミクログリアの性質について概説するとともに,最近我々が発見した微小核伝播によるミクログリア変容のメカニズムを紹介する.
本稿では,脂肪滴を直接リソソームが取り込む経路であるミクロリポファジーについて,リソソーム膜タンパク質LAMP2Bを介した分子メカニズムおよび肥満関連病態との関わりについて紹介する.
細胞質を模した無細胞転写翻訳系において,全57種の大腸菌リボソーム遺伝子を一斉に発現させ,機能的リボソームの試験管内生合成に世界で初めて成功した.人工細胞研究の基盤となる成果である.
糖尿病性神経障害ではシュワン細胞ミトコンドリア機能障害が病態形成に関与しており,イメグリミンによる改善効果が期待される.また,脂質異常症合併糖尿病では酸化LDLと高血糖によるTLR4シグナル過剰活性化が新たな治療標的となりうる.
ローダミン色素のN原子にフェニル基が結合した色素分子は古くから無蛍光性であることが知られていた.著者らはこの無蛍光性メカニズムがねじれ型分子内電荷移動であることを明らかにし,さらにフェニル基なしで無蛍光性化する新たな分子設計法を確立した.
SMC複合体によるループ押し出しと,それを停止させるバリケードタンパク質は,真核生物においてTADと呼ばれる区画構造を形成する.筆者らは,これと同様のゲノム構造化機構を真核生物の起源となった原核生物ドメインであるアーキアにおいて発見した.
魚類の未受精卵や受精卵,胚ではタンパク質に結合していない遊離糖鎖が蓄積していることが古くから知られていた.本稿ではこの遊離糖鎖の生成に関与する魚類特異的なN型糖鎖脱離酵素Ngly2について紹介する.
フェロトーシスは鉄依存的脂質過酸化により進行する制御性の細胞死機序である.我々は,揮発性酸化脂質を指標として,本細胞死を呼気中から検出し,細胞・動物・ヒトで生体内フェロトーシスを非侵襲的に評価できる可能性を示した.
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