生化学 SEIKAGAKU
Journal of Japanese Biochemical Society

Online ISSN: 2189-0544 Print ISSN: 0037-1017
公益社団法人日本生化学会 The Japanese Biochemical Society
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アトモスフィアAtmosphere

基礎科学研究の推進

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930001
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特集「食・栄養から健康を拓く生化学」の企画にあたって:企画 加藤久典 Special Reviews
New Era of Nutritional Biochemistry and Food Science Explores Human Health, Hisanori Kato(ed)

今栄養学が熱い.2021年には日本政府主催の栄養サミットが,また2022年には47年ぶりの日本での開 催となる国際栄養学会議が予定さ れている.米国NIHは2020 ~ 2030 年の戦略プランとしてPrecision Nutrition( 精密栄養)を掲げて,個人 の体質や健康状態に最適化された 栄養による疾患予防に総力戦で挑 む計画としている.わが国は,健 康的な食事や機能性食品など,世 界に誇れる食や栄養の基盤を有し, 超高齢社会のロールモデルとして も世界から注目されている.本特 集では,最近の栄養・食品研究に より疾患予防や健康向上へ向けた 新しい常識が形成されつつある状 況を,食の科学のさまざまな分野 のリーダーの先生方に執筆いただ くことができた.各種疾患の発症 やその予防,組織の機能の維持・ 向上,さらには臓器間相関,共生 細菌,生体リズム,発生・分化や 老化などに食や食品成分がどのよ うに関与しているか,特に新たに 見いだされてきた食品成分の詳細 な作用機序を含めて紹介されてい る.さらに,研究の新たなモデル 系の紹介,先制医療や個別化栄養 に向けた最新の内容も含めて,代 謝制御や遺伝子機能制御の面から 掘り下げたものとなっている.本 特集を通じて,最先端の食の科学 が実に多様であり分野融合的・学 際的であることを読み取っていた だければ幸いである.

記憶制御に対する必須栄養素群の役割Roles of essential nutrient factors in regulation of memory

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930007

マウス遺伝学的手法,栄養学的手法,神経科学的手法を用いて,ビタミンB1,ビタ ミンA,トリプトファン,マグネシウムなどの必須栄養素は脳海馬の記憶機能に必 須であることを明らかにした.一方,これら栄養素の摂取不足は脳内炎症を介して 記憶障害を導くことを示唆した.

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ステロール代謝と骨格筋機能:医・食・薬からの統合的知見Sterol metabolism and skeletal muscle functions:Clinical, nutritional, and pharmacological perspective

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930015

超高齢社会に突入した我が国において,加齢性筋萎縮(サルコペニア)の予防法や 治療法の開発は重要な課題である.本稿では,骨格筋の機能維持に重要な役割を果 たしているステロール代謝について,医・食・薬の視点から概説する.

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食と栄養による脂肪組織の機能制御Modulation of adipose tissue function by diet and nutrition

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930024

哺乳類が持つ2種類の脂肪組織と刺激に応じた機能変化について概説し,近年関心 を集めているヒト褐色脂肪について,食事誘発性熱産生との関係や食品成分による 活性化など「食」が脂肪組織に与える影響,そして脂肪組織が「食」に与える影響 について紹介する.

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タンパク質栄養状態悪化による肝脂肪蓄積の機構The mechanisms of hepatic lipid accumulation induced by protein malnutrition

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930035

摂取するタンパク質の量や質の低下によってタンパク質栄養状態が悪化すると,肝 臓に過剰な中性脂肪が蓄積する.このメカニズムに関する最近の知見を紹介する.

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栄養過多による12α水酸化胆汁酸の増加とラットにおける肥満を伴わない肝脂質蓄積An increase in 12α-hydroxylated bile acids in a high energy retention and non-obese hepatic steatosis in rats

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930043

胆汁酸分子の網羅的解析を基盤として,12α水酸化胆汁酸が肥満を伴わない肝脂質 蓄積を誘導することが明らかになった.摂取エネルギーと胆汁酸代謝の関係や,動 物種による代謝の相違,肝脂質蓄積における12α水酸化胆汁酸代謝の意義などを紹 介する.

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食と腸内細菌による宿主の代謝制御Host metabolic regulation via diet and gut microbiota

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930052

腸内細菌研究の発展により,我々と共生関係にある腸内細菌が宿主の生体恒常性維 持へ密接に寄与することが科学的根拠に基づいて明らかにされている.本稿では, 食と腸内細菌による腸内環境の変化が,宿主のエネルギー代謝制御に及ぼす影響に ついて概説する.

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細胞の分化と栄養Nutrition and cell differentiation

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930059

細胞の増殖・代謝・分化の関連を研究するための理想的なモデル系である多能性幹 細胞の未分化性維持および分化制御におけるアミノ酸の役割を概説することで,栄 養が細胞分化に与える影響について理解を深めたい.

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モデル生物と非モデル生物との対比で迫る栄養環境への適応機構Model and non-model organisms: Novel adaptive mechanisms to nutritional environments

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930067

モデル生物と,近縁の非モデル生物との対比により,栄養環境への適応機構が研究 され始めている.本稿では,食性が異なるショウジョウバエ近縁種や,低栄養環境 である洞窟に適応した淡水魚を用いた研究を紹介し,今後の展望について議論する.

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胎児期の栄養が生活習慣病の発症に及ぼす影響のエピゲノム解析Epigenomic study of the effect of nutrition during fetal stage on the later onset of life style-related diseases

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930077

胎児期や乳児期といった発達初期の栄養状態が成長後のさまざまな疾患のリスクに 影響することが注目されている.胎児期のタンパク質栄養が,エピジェネティック な変化を介して食塩感受性や高血圧の発症に関わるメカニズムを中心に紹介する.

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時間栄養学的視点で健康な食生活リズムHealthy eating lifestyle based on chrono-nutrition

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930082

体内時計は中枢時計と末梢時計が存在し,末梢時計は食・栄養素によって時刻合わ せが行われる.このとき,食生活の乱れにより,時計のリズムがずれると代謝機能 などに障害をもたらす.一方,同じ食・栄養素でも摂食タイミングにより,生理応 答が異なる.

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食品由来ファイトケミカルのセンシング機構Cellular sensing systems for food-derived phytochemicals

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930093

食品の生体調節作用を担う主要な因子である植物由来成分ファイトケミカルがどの ように生体に分子認識され,その生理活性の発現につながるのかを紹介する.

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レスベラトロールの生体作用とその標的SIRT1Cellular effects of resveratrol in health and disease: Roles of SIRT1

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930100

レスベラトロールは赤ワインなどに含まれるポリフェノールであるが,主にサー チュインの一つであるSIRT1を活性化することで細胞保護作用を発揮する.本稿で はレスベラトロールの生体内の作用について,筆者の研究成果を中心に概説する.

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遺伝子多型によるビタミンの不足と対策Vitamin deficiency among persons with genetic polymorphism an measures

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930109

日本人の多くのビタミン摂取量は推奨量を満たしていない.推奨量は一律に定めら れているが,ビタミンの遺伝子変異型多型保持者では不足が顕在化する.日本人の ビタミン等の必要量で多型が問題となるのは葉酸,DHA,ビタミンA等で,その実態 と疾患リスクの予防法を述べる.

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パーソナルゲノム情報の栄養・食品分野への応用Application of personal genome information to nutrition and food science

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930117

ヒトの全ゲノム解析が完了したことで,ゲノム情報を活用した研究が可能になり, 個人が自らのゲノム情報を解析するパーソナルゲノムサービスが登場した.このゲ ノムデータベースの研究活用の可能性と,主に栄養・食品分野での研究事例を紹介 する.

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総説Reviews

ロイコトリエンB4受容体の生理・病態における役割Physiological and pathophysiological roles of leukotriene B4 receptors

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930124

生理活性脂質ロイコトリエンB4には二つの受容体が存在し,異なる生理作用を発揮 する.炎症を促進するBLT1受容体,生体を防御・修復するBLT2受容体について, 分子同定から遺伝子改変マウスの解析に至る筆者の30年の研究を中心に総括する.

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みにれびゅうMinireviews

マクロピノサイトーシスを活用した細胞内送達の可能性Potential of macropinocytosis for intracellular delivery

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930137

エンドサイトーシスの一つであるマクロピノサイトーシスについて,種々の細胞外 物質取り込みへの関与やがん細胞における生理的意義が注目されている.本稿では マクロピノサイトーシス研究の現況を概観し,この経路を利用した細胞内送達の可 能性を紹介する.

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ノンコーディングRNAによる3次元ゲノム構造の制御Regulation of 3D genome structure by non-coding RNAs

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930141

ノンコーディングRNAは生命機能に重要な役割を担っていることがわかってきてい る.我々は,乳がんの内分泌療法耐性に関わるエレノアRNAについて研究をすすめ ている.本稿では,クロマチン制御におけるノンコーディングRNAの役割について 紹介する.

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コレステロール生合成の新たな制御ポイント―スクアレンモノオキシゲナーゼの基質によるアロステリックな安定化―Allosteric stabilization of a key cholesterol biosynthetic enzyme squalene monooxygenase by its substrate

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930147

コレステロール合成酵素スクアレンモノオキシゲナーゼが,基質のスクアレンをア ロステリックに感知して安定化するという,新しいコレステロール合成の制御機構 について概説する.また,共同研究の開始から論文化までの研究の裏側についても 紹介する.

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マウス胎仔期の雄性生殖細胞におけるクロマチン構造変換の発見Dynamic reorganization of chromatin in mouse embryonic germ cell

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930152

遺伝情報を次世代に受け渡す生殖細胞でエピジェネティック状態がダイナミックに 変化することにより個体の生殖能が担保される.今回我々はゴノサイトと呼ばれる 胎仔期の雄性生殖細胞でのクロマチン状態を解析し,その染色体が弛緩することを 発見した.

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小胞体–細胞膜接着部位におけるコレステロール輸送Movement of accessible cholesterol at endoplasmic reticulum (ER)-plasma membrane (PM) contact sites

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930157

コレステロールは生体膜にとって必須の構成成分であり,その恒常性の維持は重要 である.進化的に保存された脂質輸送タンパク質GRAMD1は小胞体−細胞膜接着部 位においてコレステロールを細胞膜から小胞体へと輸送することで細胞内コレステ ロール恒常性の維持に貢献している.

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がん幹細胞と腫瘍免疫Cancer stem cells and tumor immunity

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930162

がんの発症,再発,治療抵抗性の原因となる「がん幹細胞」が,腫瘍免疫からの攻 撃を回避するさまざまな特性を有していることがわかってきた.本稿では,白血病 治療モデルを用いた筆者らの研究成果を中心に,がん幹細胞と腫瘍免疫に関する新 しい知見を紹介する.

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テクニカルノートTechnical note

in vitroヒト大腸細菌叢モデルによる構造の異なる食物繊維の発酵性評価法Evaluation of dietary fibers by in vitro human colonic microbiota model

doi:10.14952/SEIKAGAKU.2021.930167

食物繊維の構造と腸内細菌叢による発酵性の関連を評価するin vitroヒト大腸細菌叢 モデルについて概説する.

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